ミシンそば

スワン・ソングのミシンそばのレビュー・感想・評価

スワン・ソング(2021年製作の映画)
3.9
未来にはこれが当たり前になる、そんなことをグレン・クローズが語っていたが、ここまで完璧だとハッキリ言って気色が悪いと思わざるを得ない。
サスペンスに昇華しやすいクローン入れ替わりモノなのだが、終始優しく、そしてひどく共感できる内容だった。

マハーシャラ・アリ(キャメロンと、その完璧なクローンたるジャック)の一人二役は、どちらの感情にも納得できる必然性があり、いつもながらこの人の演技には感服させられる。
オークワフィナの、いつもの覇気を意図的に消した「死にゆく演技」もかなり良かった。
この人、コメディエンヌのイメージ強いけど演技の骨子はしっかりしてはるわ。

SF描写も、個人的にかなり好きだった。
近未来と言いつつ、医療の進め方やオンライン通話などの描写一つ取っても二十二世紀くらいには行ってるだろうな、と言う所感を抱いた。
もう一度言うが、優しい…そして、彼らが抱く「当たり前の感情」の一つ一つを真摯に描いたいい映画だった。