ハマってるアルゼンチンの“デッドパン/ドライユーモア”のマスター、Martín Rejtman監督作。
これも面白かった。

●主人公はタクシードライバーのアレハンドロ。
●アレハンドロと別れることになるセシリア（その後うつ病になる）
●アレハンドロが乗せた客セルジオ（通称ピラニア）というクセ強系の男。自作のハードロック♪をスピーカー前に座らせ無理矢理聴かせる。カナダにいる弟のルイスとアレハンドロが同級生だと言い（アレハンドロにはその記憶がない）、セシリアと別れ住む所を失ったアレハンドロにルイスが住んでいたアパートを提供してくれる。
●その後、ルイスが帰国し、アレハンドロと同居する形に。彼はポルノ男優で1日20時間、室内で身体鍛えまくるためアレハンドロは寝不足に。笑
●セシリアがブラジル旅行に行き意気投合したCAのヴァレリア。アレハンドロに興味を持つ。
●ヴァレリアとセルジオの妻スサナが、セシリアのケアを兼ねて3人でヨガ仲間に。
●セシリアが公園で知り合った同じくうつ病のドッグウォーカー男とは薬の情報交換など。散歩している一匹の犬の飼い主が亡くなりアレハンドロが飼う。
●ルイスの仕事仲間（ポルノ男優・女優）3人が撮影のためカナダから来日。みなやたら身体がデカイ。
●その1人ヒューという男がセシリアに惹かれ付き合い始める。
・・と、登場人物のキャラと絡みが面白すぎる。

で、本題『Magic Gloves』
ルイスが使っていた手袋（カナダから持ってきた中国製）を見たピラニアが、アルゼンチンでは珍しい寒さとなる機を捉え、ルイスとアレハンドロを誘い手袋を大量に輸入し「Magic Glove」として売るビジネスを始めることに。
開業資金の協力でお気に入りの車も売ってしまうアレハンドロ（でもリモコンキーは持ったまま。これもキーアイテム。笑）
初期入荷分1万ダースは1週間で売り切れ、さらに追加発注するが到着が遅れ…

画像がないので、こちらで。
https://mubi.com/films/the-magic-gloves
（左からヴァレリア、セシリア、アレハンドロ）

【鑑賞メモ】
雨が流れる車窓。
ガーゴイル柄のセーター。
ブエノスアイレスの街並み。
曇ったフロントガラスに落ちる雪。
間の抜けたロック解除音。

今まで観たレイトマン監督作の中で、一番コメディ要素がシンプルで観やすかった。監督お得意のシュールなデッドパン・コメディにこちらが慣れてきたんだろうか。人の職業何回聞くねん。
登場人物が個性豊かなのもいい。

加えて、やっぱりレイトマン作品は画の作り方がいい。ちょっとカウリスマキに通ずるものを感じる。夜のシーンでもカラフル。特に赤の発色の良さがいい。

アルゼンチンで様々な手法と小さなコミュニティのコネを使い資本主義を生き抜いていこうとする人たちの話。群像劇だけどみんなキャラが立っているのでわかりやすい。少し変わった登場人物ばかりだけど、悩みがリアルで周りにいそうな感じなのも良い。レイトマン、後からじわじわくるシュールさ。