鹿苑寺と慈照寺

ONE PIECE FILM REDの鹿苑寺と慈照寺のレビュー・感想・評価

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)
3.0
当初は劇場で観る予定だったけれど、公開してからいくつかの情報が出回り、子供の頃からONE PIECEを読んでいる僕にとっては承服しかねる内容だったので、観に行くのはやめたと経緯がある。観に行く気が起きなかった理由は原作にもまだ出ていない重要な事柄が映画で先に出てしまうということ。これがまったく納得いかなかった。そういうのは原作でやってください。これについては後述する。

本作の評価ポイントは3つ。歌唱パート、ストーリー、映画由来の重要事項。

■ウタの歌唱パート
これはもうめちゃくちゃ良い。本作は歌唱パートと台詞パートで声優を変えている。歌唱パートはAdoさん、声優パートは名塚佳織さん。同じキャラクターで声優を2人起用しているのにまったく違和感がない。熟考を重ねて起用したんだろうなあというのが感じられる。
Adoさんの歌をちゃんと聴いたのは初めてだったけれど、歌によって声色をあれだけ変化させられるのはすごい。
ある意味ミュージカル映画として観られるような作りになっているけれど、ただONE PIECEはバトル漫画なので、音楽と戦闘の食い合わせはめちゃくちゃ悪いと思う。戦闘自体が軽いものになっているし、基本的に敵自体がウタが生み出したものなので、戦闘自体の緊張感も薄いのも難点。

■ストーリー
今までのONE PIECE映画でもそうだけれど、映画はあくまで原作のパラレルワールドとして機能しているので、事件の発端が唐突。特に本作はいきなりストーリーが動き出すので、「えっ!?なんで?」となる。そもそもウタとルフィの関係性やウタとシャンクスの関係性もよく分からないまま展開されるので、尚更よく分からなくなる。
本作を観て確信したが、ONE PIECEは100巻以上ある長いストーリーで、事件の発端は10数巻以上も前から張られていて徐々に動き出すというのが通例(黒ひげとエースの因縁から頂上戦争、モモの助の登場からワノ国など)。現時点の連載でも先の展開の種になるものがすでに3つはある(連載の内容に触れるので割愛)。それに慣れているので、やはり映画とはかなり相性が悪いと思う。

■映画由来の重要事項
ここが本作の一番の本題と言っていい。公開当初から疑問に思っていたが、本作を観ても違和感が拭えない。
本作で明らかにされた謎や伏線が数多くある。
ざっと挙げるとこんな感じ。
・フィガーランド家
・ウタがシャンクスに拾われたのと同様にシャンクスもロジャーに拾われている可能性
・赤髪海賊団の戦闘シーン

特にシャンクスの出生の秘密は原作で触れざるを得ないポイントなので、それを先に映画でやるのは納得いかない。フィガーランド家についても本作でわざわざ触れる必要はないと思う。こういう初出の事柄が出て、ONE PIECEファンとかYouTube配信者の中に大喜びしている人たちがいたので、呆れてしまった。まあ、それはいいか。人それぞれだし……。
赤髪海賊団の戦闘シーンは正直ワクワクしたけど、やはり漫画で先に見たかった。

難点ばかり挙げて申し訳ないのだけれど、あまりにもキャラクターが多すぎて全員に見せ場を作りたいと思ったのか、そのせいで逆に1人ひとりの活躍が薄くて仕方なかった。ローなんてROOMとシャンブルズしかしてなかったぞ。笑
ローさんはもっと色々できます。ビックマム戦なんて最高だからね。
戦闘シーンで唯一良かったのはウソップとヤソップの共闘。親子が見聞色の覇気を使って通じ合っているのは熱かった。原作では見られない可能性があるので、こういうのは好き。ていうか映画だったらもっとそういうのをやって欲しい。意外な2人の共闘みたいな感じ。そういう意味ではシャンクスとカタクリの共闘は良かったのでむしろもっと見たかった。

以下は個人的なメモ
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フーシャ村やバラティエの人たち

ブルックの衣装、好き。

五老星も配信ライブ観てるやん。笑

フィガーランド家

Adoさんの歌声の七変化がすごい。

海賊狩り

「想定外だ」

ウタの天竜人ディスり

コビーの出世スピードはほんとにすごいな。

「この世界に平和や平等なんてものは存在しない」

黄猿とベックマン

「笑って別れよう」

ウソップとヤソップ

やっぱりシャンクスはロジャーに拾われたんだな。
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