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ホリック xxxHOLiCのシネラーのレビュー・感想・評価

ホリック xxxHOLiC(2022年製作の映画)
1.0
個人的に好きな原作及びアニメ作品で、
不安な実写映画化に蜷川実花監督
という事もあって期待値は低かったが、
劇場へ赴いて良かった。
入場者特典の原作描き下ろしイラスト
を貰えたから…。

アヤカシが視えてしまう高校生の
四月一日が、不思議なミセで人々の
望みを叶える女主人の壱原侑子と出逢い、
そのミセで働きながら奇っ怪な出来事に
遭遇していくオカルト・ファンタジーだが、
全てにおいて説明不足と言っていい。
原作との相違点に関する不満点は多々ある為、
あくまで一本の映画としての不満点を
綴っていこうと思うが、
まず何より登場人物と物語展開が端的で、
感情移入や世界観への理解ができない
映画だと思った。
唯でさえ謎の多い存在である侑子だが、
そのミセで望みを叶える描写も少なく、
人物描写や物事の説明が全般的に
不足していると感じられた。
その結果、原作同様に人間の真理を突く
ような発言をしても、
全くもって心に響くものがなくて残念だった。
四月一日の同級生ひまわりと百目鬼の
3人の交流に関しても違和感が否めず、
短い時間の交流で互いに
代償を払って相手を救おうとするのは
急展開が過ぎると思えてしまった。
ミセへの来客者や前述した3人の交流は
ダイジェストで流されており、
それで感情移入しろというのが
到底無理な事と言えるだろう。
加えて、短い一場面しか登場しない
豪華キャストの登場は、
原作キャラクターの僅かな登場場面と
なってるだけの確実に不要な場面だ。
更には、カットを挟んで場面が変換し、
現実か夢か分からないという下りが
何度も描かれ、話が分断される上に
飽き飽きする展開でもあった。
そして、終盤にかけてCGを活用した
アクションもあるが、
無駄に迫力や緊張感を持たせている様で
完全に熱も冷める映像美だった。
又、世界の危機と言われる
終盤の展開の解決方法が、
何とも呆気なくて簡単に思えた。

一応、良い点も言っておくと、
ミセの美術やキャスト陣の衣装を含めた
再現度は良かった。以上。

監督は本作を企画から10年費やした
と言われているが、
その割に原作への理解や映画らしい工夫
も感じられない映画だった。
これでも不満点は抑えた方だが、
個人的に自身が原作を
読み返している時期なだけに、
不満が引きずって膨らみそうだ。
それも必然だったという事で失礼しました。
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