竜どん

ハケンアニメ!の竜どんのレビュー・感想・評価

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)
3.9
好きを、つらぬけ。
メッチャクチャささりましたねコレは。
自分自身近い業界に身を置いているので、『SHIROBAKO』『ポンポさん』等作り手目線の業界裏舞台は大好物。

アニメや映画という創作物の正に母たる役割を担う監督という立場。一般的な商品に比べてエンタメの世界はその出来不出来が顧客の評価ひいては作り手の評価にダイレクトに反映する。期限がある、巨額の予算が動く、自分の代わりがいない。数多の人間が携わる事業だけにその重責は半端ないものがあるだろう。
創作に終着点は無いというが、クリエイターは「最高」を目指してしまう。自分の限界の先を渇望する。これはもはや呪いだ。そして本当に「描くことの壁は描くことでしか越えられない。」のだ。
自己肯定と自己否定、期待とプレッシャーの狭間に揺れる創造主の苦悩と葛藤、熱望と勝利がスクリーンに溢れ出る良作。

ただ作品人気の優劣を「視聴率」という尺度で計るのは些か前時代的。SNS上にコメントが溢れる表現も細田作品みたいで既視感がある。表現が色々と微妙に古い。確かに勝敗を明確にするツールが今の世の中に存在しないのは確かなのだが、そこを映画ならではのアイディアで可視化してくれていたら評価はもっと上がったかな。

さされ、誰かの胸に!

追記
鑑賞からレビュー投稿まで随分空いてしまったが、興業は散々の様ですね。作品自体の出来以前にこの手のテーマは端から一般人の選択肢に入らないのだろうなぁ。『サウンドバック』本当にアニメ化したら売れんじゃね?
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