こたつむり

ハケンアニメ!のこたつむりのレビュー・感想・評価

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)
4.4
♪ 簡単にできることなんて一つもないのさ
  難しいこと繰り返し それでも
  生き抜いてこう そっと

いやぁ。モノづくりって素晴らしいですね。
映画だろうと、小説だろうと、マンガだろうと、アニメだろうと、料理だろうと、裁縫だろうと、建造物だろうと、何かを作ること=人間の営み、なのです。

だから、そこに向き合うということは。
人間に向き合うことであり、人生を肯定することであり、世界を包括することでもあり、何よりも尊く、何よりも輝いているのです。そりゃあ、頬が濡れるのも当然ですな。

勿論、大切なのは熱量。
そしてその熱量に負けない根気と繊細さ。本作で言えば、表に出てこない部分まで作り込んだ劇中アニメは最たるものでしょう。どんだけ“熱い”んですか。燃え盛っているんですか。

また、繊細さで見事だったのは主人公の部屋。
不快感を与えないギリギリの線で“汚部屋”を構成したバランスは感嘆の極みです。飲食物のゴミは少なく、だけど室内干しの洗濯物は放置状態。これが“こだわり”ですよね(但し、あの状態でネコを飼っているのは…うーん)。

そして、そんな繊細さは配役にも顕著。
主人公の選択も然ることながら(吉岡里帆さんは少し“腐”っぽい感じがします)柄本佑さんの起用が最高にグレート。さすがはサラブレッド。兄弟ともども、絶妙な存在感を醸し出しますね。

まあ、そんなわけで。
巷の高評価も頷ける“熱い”物語。
アニメが好きでないとしても、お仕事ドラマとして楽しめる構成は、まさに脚本の妙を感じました(原作者が積極果敢に関わったというのも頷ける話です)。やはり、どんな時でも“ガチ”って素晴らしいですね。

ただ、そんな中であえて難を言うならば。
本作を鑑賞したら…アニメの出来栄えに文句を言えなくなりますよ…。裏で色々と大変なのは理解していましたが、具体的に描写されてしまったら…ねえ。

あ、僕は「文句は言わない派」ですけどね。
いや、本当に。
止め画が多いとか、背景が使い回しだとか、そんなことを言った記憶はありません。あるとしたらドッペルゲンガーの仕業ですな。けしからん。
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