こたつむり

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のこたつむりのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
4.5
♪ ゲッ ゲッ ゲゲゲのゲー
  朝は 寝床で グーグーグー

端的に言えば、水木しげる×横溝正史。
『犬神家の一族』を彷彿させる地方の跡目争いだったり、『八つ墓村』を連想させる閉塞した村意識だったり、そんな展開が続くんですが、その完成度は見事な限り。

気軽にモチーフを借りているだけじゃないんです。
きちんと世界観を練り込み、些末な部分まで検証と考証を重ねているから説得力がハンパじゃないんです。

舞台を昭和31年にしたのも慧眼なり。
戦後の闇と、そこから抜け出そうとする光と。それらが混然一体となってカオスだった時代。某妖怪小説シリーズでも馴染み深い年代…というのも趣深いです。世の中には不思議なことなどもない…わけがないんですよね。

これは高評価も当然ですよ。
暴力表現が攻め込んでいるのも嬉しいです。これで本当にPG12なのかなと思うほどなんですが…全くけしからん話ですな。もっとやれ。

というかですね。
大人は全力で子供たちへのトラウマを作るべきなんです(あくまでも物語世界においてですよ。現実世界で傷つけたらダメです)。幼い頃に傷を負わないで真っ当な大人になれるはずがないんです(←ザ・偏見)。

だから、本作は小学生にオススメ!
怖くて怖くて夜中にトイレに行けなくなるかもしれませんが…うひひひ。

でも、これが本当の『ゲゲゲの鬼太郎』。
僕はアニメ第二期が最高峰だと思っているんですが、あれを四歳か五歳の頃に観ていますからね…そりゃあ、歪むのも当然…『足跡の怪』は本当に怖かった…。

ちなみに本作は最近のアニメにも十分配慮。
猫娘が萌え系になっているんですが、そこに違和感がないのも流石だと思いました。本当に色々と練り込んでいるんですね。それでいて昭和の価値観も再現。その全方位的な配慮に脱帽です。

まあ、そんなわけで。
水木しげる生誕100年記念作品として納得のクオリティ。先入観を排除して臨むことをオススメします。そして、製作陣にお願いしたいのは「鬼太郎夜話」のリライト。本作のような切り口で再構成したら最高に面白くなるんじゃないかなあ。期待で鼻の穴が膨らんじゃいますね。ふひ。
こたつむり

こたつむり