トムトム

1950 鋼の第7中隊のトムトムのレビュー・感想・評価

1950 鋼の第7中隊(2021年製作の映画)
2.0
みなさん、昨年2021年公開の映画の世界興行収入1位が何かはご存知だと思います。

そう。
「スパイダーマン ノーウェイホーム」です。

それでは2位が何かご存知でしょうか。

それが興行収入1100億円を叩き出したこの作品です。

朝鮮戦争に参戦した中国軍がマッカーサー率いる国連軍を打ち破った長津湖の戦いを映画化した作品です。

「中国勝利三部作」の2作目という事で国の威信をかけて制作されているので監督もツイ・ハーク、チェン・カイコー、ダンテ・ラムの3人体制と超豪華。

主演は国威発揚映画ならこの人!
ウー・ジン。

とにかく何の衒いも恥じらいも無い国威発揚、中国万歳映画です。

そのあまりにもあからさまな展開に逆に変な笑いが出でしまいそうになります。

厳しくも温かい家族のような人民解放軍に対して死体を撃つ数で賭けをする米軍パイロット。

平和を望みながら100年先の平和の為に戦う決意をする毛沢東に対して大統領選出馬を睨んで功績を高めるためだけに戦争を拡大するマッカーサー。とやりたい放題です。

毛沢東は息子のを庶民たちと同じく前線に送る無私の人物としても描かれています。

一応、全体の統括と特撮はツイ・ハーク。
人間ドラマパートはチェン・カイコー。
アクションパートはダンテ・ラムと分業しているみたいですが、これを信じるなら今作の戦犯はチェン・カイコーですね。

ワガママな若者である主人公の弟が立派な兵士に成長する様を描いていますが、この五万里というキャラに魅力を感じませんでした。

所々に配される国威発揚セリフは笑っている場合では無いですが思わず笑ってしまいます。

「知らない女性が笑いかけてくれるんだ。俺にじゃ無い、この軍服にだ。」

「こんな強固な意志を持つ国民に我々は未来永劫勝利できないだろう」

とか珍台詞が目白押しです。

ダンテ・ラムの戦鬪パートになると乏しい装備と人員で国連軍を撃破しまくる人民解放軍の超人兵士ぶりが堪能できます。

アクションとしては悪くないです。

そして中国国威発揚映画のよくある最後の見所であるエンディングでのメッセージがなかなか狂っています。

「この戦いで数十万の中国人が戦死した。」

普通の映画ならこの後には、こんな事は繰り返してはならない、と続くと思いますが今作では。

「この戦いで成し遂げた金字塔は未来に渡って色褪せない。」

と続いたんでビックリしましたよ。
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