みほみほ

GHOSTBOOK おばけずかんのみほみほのレビュー・感想・評価

GHOSTBOOK おばけずかん(2022年製作の映画)
3.4
👻2022年73本目👻

多少の奇妙さはあっても、 恐さは0なので、家族で安心して観られるような映画。小さな時に家族で観たりしたら、大人になった時に意外と懐かしく思えたりするのかも。

令和版 『学校の怪談』のようなものが観られるかと淡い期待をしたけど、予告で観た通り、妖怪ウォッチのジバニャンテイストのキャラクターが、作品をよりポップにファンタジックにして行くので、恐さの部分が丸っきり味わえない。となると、タイトルにおばけが入ってるだけに、どうしても物足りない何かがある。

ラストスパートのほろ苦くも清々しい様は、あの時(『学校の怪談1』)の感情にも似てるけど、そこに至るまでの冒険に余計なものが詰め込まれ過ぎて、世界観がパンクしてる感覚。

妖怪ウォッチ、ゲゲゲの鬼太郎、学校の怪談、妖怪大戦争、ゴーストバスターズなど色んな映画がMIXされてるかのような既視感の連続なので、新鮮味はまるで感じられないんだけど、人物像や言葉遣い、時代設定は令和チックなのに、あの日常風景が 昭和後期〜平成初期っぽいところは良き。

大人が観てもなんかいいなぁと思える部分はあるし、笑えるポイントも結構ある。子供が自転車乗り回して、夏と畑と異世界と妖怪が絡むってだけでも良い要素満載なんだけど、妖怪のビジュアルや世界観のまとまりの無さを含めて考えると、小学校低学年~中学年向けかな。(もう少し小さい子だと、本編が長過ぎるかも。)

人間の成長であったり、最後に心に残る 形はないけど揺るぎない、儚く澄んだ感情のようなものを体感した時は言い知れぬ感動を得たけど、ファンタジー要素や、ノスタルジックさを前面に出したいのか、妖怪をつかまえに行く冒険のコミカル要素を強く出したいのか、まとまりが無さ過ぎてとっ散らかった印象を受けた。

主人公達が立たされる困難も、命懸けの試練と言いながら、難易度と困難の低さが目に付いて、図鑑に妖怪を入れるまでの段階で達成感を味わえる事がなかったのもとても残念。(最初から子供向け作品って位置付けなら、全然微笑ましくて良いんだけど!)

子役のキャスティングは最高だけど、色んなところから寄せ集めたような妖怪ビジュアルを見直して、会話とか試練とか設定をもう少しちゃんとしてくれると、名作になり得たのにな…という勿体なさが残る。

殆ど御二方のファンで会場が埋めつくされていた様子だったので、映画のウケに関してはかなりの和やかムードでリアクションも大きいくらいだったけど、ファンとかを抜きに映画を純粋に楽しむとしたら、何かが物足りなくて、それでいてごちゃごちゃしてて笑いをメインにしてるので、子供向け映画に感じられる人も多いと思う。


そして新垣結衣ファンにはたまらないとは思うけど、神木隆之介ファンにとっては出番が少なくてもっと出して〜と言いたくなると思う。私もこんなに神木隆之介が出てこないのかと驚いたし、舞台挨拶で爽やかで優しい雰囲気が伝わってきて、ファンでもないのにちょっとときめいていたので、映画で登場時間少なくて寂しかった。新垣結衣は大活躍なので、ファンは必見かも。


もっと映画を怖くしてくれたら良かったのに…と思わなくもないが、監督が描きたかったところはそこではない事が分かる(原作知らないし読んでないから、あくまで監督の事だけど…)ので、それに関してはラストは良かったよ!と感想を発信したいし、前半の奇妙な世界観からの妖怪ポケモンGETタイム突入の健全なカオスさには、やりたい事全部詰め込んできたな〜と思ってなんだか笑ってしまう。

ツッコミどころは多いけど、夏休みに家族皆で観に行くのもいいと思える映画でした。


👻どうでもいい一言👻
(妖怪のビジュアルはもっと日本的にしてくれて良かったのに。ラスボスはロード・オブ・ザ・リングに出てくる、旅の仲間でガンダルフと戦う奴に似てて、なんか本当に世界観が多彩過ぎて、色々影響され過ぎでは……と苦笑い。もっとシンプルに怖さと冒険と笑いを同居させてくれたらと感じました。)


完成披露試写会にて鑑賞。
(東京ドームシティホール)
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