みほみほ

猿の惑星/キングダムのみほみほのネタバレレビュー・内容・結末

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

🦍🙊2024年77本目🙈🦍(吹替)S10 3

恐れていたことが起きてしまった。

約半月、他の映画に目もくれず、ひたすらリブート版「猿の惑星」にのめり込みエイプとの共生やら何やら深く考え、現実世界でもこの世界に深く没入していたというのに…
何も関係ない世界のお話を観ているようで、シーザーへの敬意も前作までへのリスペクトも何も感じられないストーリー展開にショックを受けてしまった。今までの重厚感はどこに…??映像と豪快さに誤魔化されているが、薄っぺらい……

これなら続編が作られない方が綺麗で良かったのでは…?と複雑な思いを抱きながら劇場を後に。

冒頭は涙。本作からシーザーやその仲間たちエイプが出てこないことは覚悟の上で観に行ったけど、きちんとシーザーを送り出すシーンを取り入れたのはすごく良かった。

問題はその後。
てっきりシーザー達の数百年後の世界の" 子孫 "の話だと思っていたら、シーザーのことを知らない。今までのリブート版に関わってきた人でもなく、どこでどう生きていたのかも明かされぬ鳥使いの民イーグル族。

本作を観ていて、シリーズだからこそ感じられる喜びのようなものが湧き上がってこず、何も関連を感じられぬ世界にガッカリ。ここまでエイプが積みあげてきたものは何だったんだ?

唯一の継承者、ラカが登場した時は安堵し、ここからまた始まるんだと高まっていたら…あんまりな最期。様々な映画に置き換えると大抵ああいうシーンは生きてるはずなんだけど、最後まで登場もなく……無駄遣いするなら、最初から出さない方が良いのでは。唯一の生き残りをあんな形で退場させるのは、現実世界が時と共に残酷に移り変わることを加味しても納得出来ない。

現実世界の痛烈さを描くなら他に出来ることもあったと思うし、シーザーの名を都合良く語りながら新たな王として台頭するプロキシマス・シーザーも 完全な悪かというと、人間を信じてはいけないというコバにも似た感情があるキャラクターだったし、捕虜のような形で捕まえた後も聖戦期の時の人間のような扱いはせず、同じ種族として結束しようとする意志を感じたので、そこまで極悪感もなく 最大の敵になりうるこれといった見せ場もなかった中途半端なキャラクターのように思う。映画を盛り上げる為に出しただけのような……

そして今作、展開的に人間とプロキシマス・シーザーが入れ替わっただけで、また聖戦期やってんの??と思う既視感がありさらに残念だった。

オリジナル版も復習していたので、喋る人形の登場はちょっと嬉しかった。

映像は勿論綺麗だけど、やけに崖から落ちるようなシーンを多用し過ぎてスリルもなくなるし、数百年後の世界だからそりゃそうなのかもしれないけど、猿達が言語を話し過ぎて 心に訴えかけられる手話のシーンが激減していたのが切なかった。

猿が喋り人間が言葉を失うのはオリジナル版「猿の惑星」に繋がると思えば当然のことなんだけど、リブート版を愛してる自分を納得させる方法をじっくり考えてみても、前作で人間の呆気なさを描いておきながら、まだまだ人間は知恵で生き残ってるし、人間様の方が上だよみたいなのが滲み出てくるのにはうんざりしてしまった。

聖戦期で滅亡したのは軍人に近しい者だけで、テクノロジーを持つ人間がごっそり生きてるだと??あんなウイルス蔓延しておいて、都合良く科学者が揃って残るわけないじゃん…無理して人間の攻防絡めなくていいよ…と冷めた目で見てしまった。(世界は広いから至る所に生き残りがいて、ウォーキングデッドみたいだ)

ゴリラは完全に悪側、オランウータン少数派、チンパンジーが主みたいな構造も出来上がってしまっていて、同じ類人猿の中でも性質で分けてしまっているのも微妙。良きゴリラだっているはず。

「猿の惑星」シリーズを観たことない人が単品で観れば、映画としてそれなりに見応えはあり楽しめるかと思いますが、これまでのリブート三部作を観てきた人にとっては なんの思い入れもない人達がメインで、唯一の継承者であるラカの存在が救いなのに、あの扱いには到底納得出来ないしで複雑なものが残ると思います。途中からはシーザーの意思が生きていない世界が悲しくて、心がポカーンとして涙が出そうだった。

唯一良かったことは ノアの顔が冒頭〜ラストへと移りゆく中でまるでシーザーの生き写しのような表情になっていくこと。彼は シーザー誰?みたいなスタンスだったけど、この先 新世界のリーダーになっていく存在なのだろう。

新たなるパートナーとして、シーザーにとってのモーリスが ノアにとってのラカだと思っていたのに、今後はどうなるのでしょうか……

正直私はこれ以上ぐちゃぐちゃにして欲しくないし、今回出てくる人間の意図に物凄く腹が立って、今作で描かれる闘いに感情移入もなにも出来なかった。

マット・リーヴス戻ってきて…!!と心底思っちゃうけど、監督変わっても地のストーリーが変わらなければ結局意味ないのかな…でもやっぱりマット・リーヴスの世界観が好き。

歴史は繰り返す
って言葉を当てはめて納得するしかない内容。

正直、冒頭がピークでした。完全にリブート三部作とは切り離して考えないと納得出来ない。かといって今までの積み重ねがあっての最新作なのだから、シーザーの意思をもっと焼き付けて欲しかったです。シリーズが予期せぬ方向に行っても、シーザーやモーリス、コバは私の心に居るからね。

スコアが3.6(後に3.5に変更)を保てた理由は、冒頭できちんとシーザーを送り出す皆を見れた事とラカの存在があったからです。それがなかったら多分もっとボロくそ書いてたと思う(笑)

吹替版で観ましたが良かったです。リブートシリーズをずっと吹替版で観ていたので、本作も勿論!と思っていたところプロキシマス・シーザーが竹内力 …と。でも悪い予想を裏切り最高でした。キャストを言われなければ、イッテQでお馴染みの立木文彦と聞き間違えるオーラでした。

いい声だなぁ…この護衛のゴリラ🦍と思ってたら、楠大典。ルカの父は多田野曜平ときて安定感最高。

今まで吹替版で観てたのに、竹内力で迷ってる方は迷わず吹替版で観てください。
みほみほ

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