一見、ユーモラスでほんわかとした世界観の中に、芸術への反骨心や風刺を含んだボテロの作品は、コロンビアという強烈な地域からこそ生まれたものなんだなあと感じました。
ただ、なぜ彼が、世界中に愛されるこの独特の「作風」に行き着いたのか、それを知りたかったのですが結局そのあたりはよくわかりませんでした。
母国コロンビアを出て、フィレンツェに行きニューヨークに渡った、そのあたりで貧しい生活の中で、「絵を描くことだけしかなかった」中で描いて描いて、その中で行き着いた彼の世界なんだろうなと解釈しましたけど、娘が「父は模索していました」とさかんに言っていましたが模索とは?自己を表すための模索?または、売れるにはどのような作風にしたら良いか?ということでしょうか?
前半、彼の絵が具象だという評価にびっくりしました。えっ、抽象画ではないの?
後半になってやっと「ユニークな彼の作風」という言葉が出てきてやっと安心というか、何というか。そうだよなあ、彼の世界はちょっとヘンで、どこか温かいからみんな愛してるんだよなあ。
「ふくよかなのは、包容力があって、官能的で好きだ。現実はドライだからね」というボテロ本人の言葉になるほど。そのへんに行き着いた過程をやはりもっと知りたかった。
正直、成功してからの話はどうでも良いんだよ…と思って見ていたのですが、お恥ずかしながら彼がアブグレイブ刑務所をテーマにした作品をいくつも発表していたとは知らなかったです。
そして、母国コロンビアを、とても心配していたことも。
そのあたりも知れたドキュメンタリーで面白かったです。