味噌のカツオ

ヘルドッグスの味噌のカツオのレビュー・感想・評価

ヘルドッグス(2022年製作の映画)
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アクション俳優というか格闘俳優というようなポジションを築きつつある岡田准一。
何やら業界内では時代劇への期待も大きいようですが、こちらは『ザ・ファブル』に続く現代劇のアクション映画。

設定としては潜入モノですが、素性がバレるのでは~というスリルは大きくあと回し。基本はストレートなヤクザものとして、のし上がるための戦いに覇権争いの見せ場がたっぷりで。
防弾チョッキで銃弾を受けてからのタッグマッチ。意外なヒットマンの正体を暴く展開とかメチャ面白い。

その面白味のイチ要素として兼高と室岡のコンビというのがあって。
(本筋に入ってから、既にコンビになってたのは“ズルい”と思ったけど)始末屋からボディガードとなり、さすがは“相性98%”というコンビネーションが心地よかったんだけど。
トップである十朱の秘書が殺られ、兼高が秘書を継ぐこととなり、コンビ解消となってしまったことで、こっちも「マジかよ!?」と思ったりして。

そんな折に「兼高が警察の犬かもしれない」との噂を聞き、さらにバランスが崩れていくと。
気付けば うっすらとBL感すら覚えるような二人に、グッと感情移入していたようで。それも狙いかもしれないけど。

そんな兼高には現在につながる過去が。もしかしたら止められたかもしれない過去(モデルとなったであろう事件のことを思うと胸が痛みますが)があって。
そして室岡にも 一部の人にしか分かち合えない心の傷があって。
さらに組織のトップ十朱にも物語があって。

そうしたバックボーンを抱えたキャラクター設定もよく出来てるなと思った次第。

登場人物で言うなら、十朱を演じたMIYAVIの放つ色気には目を奪われましたし。
同監督の『検察側の罪人』で存在感を示した酒向芳さんが、全く違う立ち位置でキメてくれたことに、役者の力を見せつけられたなと。
それから いけ好かないインテリヤクザみたいな細身の男。どこかで見たな~という演者が、お笑い芸人 はんにゃの金田だったというのも、良い意味でビックリでした。

作品としては、アクション、ストーリー、エンターテイメントとして十分に見ごたえがあって、それはそれで満足しておりますが。

ちょっと気になったのは、事前情報で室岡をサイコパスを紹介しているんだけど。全然そんなことはなくって。
それどころか、めちゃヒューマニズムに裏打ちされた存在だったと思うんだけど。わたくしの受け止め方がおかしいのかな?

それから多くの方が感想で記しているのが、所々でセリフが聞き取りにくいという点。
裏切りや策略などが こうした物語のひとつの軸である以上、それを導くセリフが伝わらないと「何がどうした?」と余計な詮索が必要になってしまうので。
これは大きなマイナス点だったと思います。もったいなかったなぁ。
味噌のカツオ

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