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ダイ・ハードのdm10foreverのレビュー・感想・評価

ダイ・ハード(1988年製作の映画)
4.1
【プレゼント】

世の中にクリスマスムービーは数あれど、「どれが一番?」って聞かれたら何故か結局ここに戻ってきてしまう。
たぶん、これと「ホーム・アローン」の二択で。

世の中に「武井壮」という人間が出現するまでは、「タンクトップ」と言えばダイ・ハードのマクレーン刑事の代名詞であった。ん?裸の大将?いかん、ライバル出現(笑)

それはさておき、クリスマス時期を描いた物語でありながら「タンクトップに裸足」というギャップ萌えが全開のこの作品。
一見すると「クリスマスムービー」という印象は薄そうなものなのに、やっぱり自分の中では結びついてしまう。

当時、世界のバブリー代表と言えばまだまだ日本企業が健在で、だからこそあっちこっちで狙われるんだけど、どことなく「狙われるべきお人好し」みたいな認識ってあったんだと思う。
それはこの頃の映画に登場する「お金持ちの日本人」の共通認識みたいな感じの、ある種メタ的な。

でも時は流れ、「リーマン」が「ショック」で、「バブル」はお立ち台のテッペンで弾け飛び、タクシーを止めるのに1万円札をチェッカーフラッグのようにチラつかせる男性の姿はすっかり過去の遺物となった。

そして「世界のビジネスリーダー」はいつの間にか日本から中国へと座を譲り、さまざまな大作映画で「アジア」として描かれるのは中国となり「アジア人代表」として出てくるのも殆ど中国人になった。
それと同時に「やられっぱなしの金持ちお人好しアジア人」は姿を消し、「物言う強気なアジア人」に取って代わった。

人種が変わると、描き方にも様々な影響が出るもんなんだな~としみじみ思う。

でね。
やっぱりこれがクリスマス映画であるという理由。

これって「ラブストーリー」なんですよね。
あの映画って、あれだけ必死になって悪党をとっちめて一件落着・・・ではないし、マクレーン刑事もそれを目指して戦ったわけではないと思うんですね。

この作品における彼の原動力は「クリスマスを一番大切な人と過ごすため」なんですね。
そう考えたらなんともいい旦那さんだよ。
そりゃ別居中で隙間風が吹いていようとも、お互い寄りを戻すいいチャンスじゃない。
それがクリスマスってもんだ。

俺の行く手を塞ぐものは何であれブッ飛ばす!

そこには「刑事として」とか、そんな理想的な理念なんてホントは微塵もないんです。
彼はただの「何だかんだ言ってもやっぱり妻が好きな男」でしかないんですね。
ただ、幸か不幸か彼は「刑事」だったんで派手に巻き込まれちゃった・・・っていうだけで。

だからこそ、全ての障害を乗り越えて辿り着くエンディングに流れるビング・クロスビーの「Let it snow」で全てが報われるんですね。
JR東海のCMでめちゃくちゃ可愛い牧瀬里穂のアップと一緒に流れる山達の「クリスマスイブ」くらいエモいんです。

今でもTV吹替え版の野沢那智さんの「ホ~~リ~~~!」っていうセリフが忘れられないんだよな~。
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