Maoryu002

ドライビング・バニーのMaoryu002のレビュー・感想・評価

ドライビング・バニー(2021年製作の映画)
3.4
ある過去からホームレス同然の生活をする40歳のバニー(エッシー・デイヴィス)は里子に出された娘と暮らすために、職を探し、住居を探すが、うまくいかない。追い詰められたバニーは、継父に言い寄られ戸惑う姪のトーニャ(トーマシン・マッケンジー)を道連れに、愛する娘の元へ暴走してしまう。

中年女と少女のロードムービーかのようにミスリードされてるけど、これは戦う母親の物語だ。

とにかく豪快に道を外れていくバニー。彼女が自分でも言うとおり、怒りが制御できない。
そんな彼女への共感は難しいし、暴力も嘘も不潔なのもムリ!それでも、彼女のやり場のない感情と葛藤はしっかり伝わってきた。

画一的に作られた法律は時に残酷だ。貧困や法に阻まれて、ついに行き場を失ったバニーは自らの正義に頼るしかなくなる。
原題 “The Justice of Bunny King(バニーにとっての正義)” のとおりだ。

実はトーマシン・マッケンジー目当てなところがあったんだけど、これは完全のバニー役のエッシー・デイヴィスの映画。
彼女は「トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング」「ニトラム/NITRAM」とエキセントリックな役が多いけど、母性の狂気を纏って猛進する演技には恐怖すら感じた。

以下、ネタバレあり。

どこか「狼たちの午後」や「テルマ&ルイーズ」を思わせたけど、比べると本作のラストは緩く感じる。
バニーが射殺されてこそ、子供への想いと命の重さが天秤にかけられ、テーマの重要性が伝わったんじゃないかな。なんて、ちょっと過激だけど。

そして、トーニャはどこへ向かったのか。母親と完全に決別したかのように見えるエンディングこそが最も哀しかった。
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