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百花のkassyのレビュー・感想・評価

百花(2022年製作の映画)
3.2
完成披露試写会にて。
登壇者:川村元気監督、菅田将暉、原田美枝子、長澤まさみ、永瀬正敏(敬称略)


数々のヒット作をプロデュースした川村元気さんが自身の祖母の認知症の体験を基に執筆した原作を自ら映画化。

母子家庭だった主人公の母が認知症を患い、徐々に記憶を無くしていく。
ただこの親子関係にも複雑な過去があったことが映画を通して紐解かれていく。

それぞれのシーンがほとんど長回しで構成されていて、それがこの映画の静謐さを表現できてはいるのだが、こんなに長回しばかりだと退屈に感じられてしまう。

認知症になって大切な記憶を失っていく母への葛藤、そしてわだかまり。
しかし、生きている人間も等しく記憶を失っている。

全てのシークエンスはこのメッセージを強く訴えるラストのカタルシスの為だったのだなと思わされる構成だった。
ただ、このカタルシスのために全ては犠牲になったような感じがあった。
あまりにもその他のシーンが退屈すぎる。
長回しは効果的に使わないと魅力が損なわれると逆に勉強になった作品だった。

主人公の仕事場のシーンは、なんだか商業の匂いしかしないし、キャストの無駄遣いがすごい。河合優実ちゃんも北村有起哉さんもアップで見ることが出来ないのがもったいなかった。

キャストに関しては原田美枝子さんの少女のような愛らしさ、女の色気、魅力が発揮されていて非常に良かった。ダブル主演ではあるが、真の主役はやはりこの方である。「これが最後でもいい」と言う気持ちで望まれた通り、この映画に出てくださって良かった。




以下、完成披露試写会でのトーク

原田美枝子さんと監督はかなりバトルした。(1、2回ではなく4回以上バトルしたようだ)
役者の一線を超えたあとの爆発した力みたいなものを撮りたかったようで、なかなかOKを出さない監督の真意がわからず、「どう言うつもりなのか」と何回も怒ったりバトっていたようだ。役者は最高を準備して一発目からMAXの状態で挑む。しかし監督はなかなかOKを出さない為、バトって相互理解を深めていった。

花火のシーンが大変だった。
実際に諏訪湖で花火を打ち上げて、秒単位でセリフとの間を計算されて打ち上げたが、演じているとそんなことは忘れてしまうので大変だった。
また、原田さん用の浴衣の枚数が限られていた。
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