物語としてのカタルシスがないのか、１シーン１カットと聞いてアキ・カウリスマキみたいなストイックな世界を想像してしまったからなのか、とにかく表現しずらい物足りなさを感じてしまった。
退屈な長回しとか、登場人物に感情移入の全くできない、という映画はむしろ大好物なのだが、１シーン１シーンが整いすぎているがために感じるつぎはぎ感とかその辺り。顔のパーツ一つ一つはめっちゃ綺麗だけど、合わせてみるとあまり美人じゃない、みたいな。まるで本作に登場するアンドロイドのように。
しかし原田美枝子さんの記憶があるときと無いときの目の使い分けには度肝を抜かれたし、岡山天音くんの冴えないエンジニア演技も巧すぎて笑ってしまった。
アルツハイマーの記憶をループさせる撮影技法は、俳優に同じ演技を何度も繰り返す「撮影現場」感もあり、またアニメで多用される「ループもの」すら彷彿させ、監督のアイデアに脱帽。ただ、もっとみたかった。エターナルサンシャインのラストみたいな畳み掛けが。
そうじゃないと、一気に記憶を無くしてしまった母親の佇まいがあまりにも可哀相。
本当はもっと長かったんだろうが、観客の集中力に対する過剰な配慮を感じてしまった。
挿入歌はリリィシュシュに寄りすぎているね。
いろいろ書いてる時点で記憶に残っている映画にはなってるかも。
まだ観たばっかりだけど。
