Netflixだと多分エピソードが８〜９ぐらいにはなる内容を、ギュッと３時間にしたような、テンポのよい編集。あっという間。
ただこのテンポの良さが、人が戦争に加担し、巻き込み巻き込まれ、大量殺戮爆弾を投下するまでのリアルな史実体感時間を物語っているようで、逆に残酷。
アインシュタインが出てきたときのあの安心感はなんなんだろう。
アインシュタインだ〜〜〜！！ってなる。草むらで湖を眺める伝説のポケモン。
そしてあのノイマンが全くこの映画に登場しないことが結構この映画への不信感を強めた。
この映画を見る前のオッペンハイマーのイメージは黙々と原子力の研究をしていたら悪魔を生み出してしまい、それを勝手に軍事利用された可哀想な物理学者。ぐらいにしか感じてなかったけれど、
実際は超がつくほどの政治屋。ビジネスマン。弁が立ち、原爆を作ることに全力を注ぎ、更には日本に落とすことを積極的に指示したユダヤ人。マクドナルドのファウンダーという映画を思い出す。
もちろん、ナチスに対抗するための新兵器、という理屈はとてもわかるけれど、ヒトラーが死んだあと日本に標的を移したのはあのノイマンなのではないか。（原爆を京都に落とせと言った科学者）
何が本当かはわからない。
ただ投下後のごちゃごちゃと私怨の混じった「裁判沙汰」の茶番１時間強は人間らしくてとても良かった。
JFK暗殺につながる一節があったのは鳥肌たった。
反共と反反戦(それとユダヤ)いつまでもアメリカの浅い歴史のテーマだな。
広島長崎の実際の被爆シーンがないというので文句を言っている人がいるみたいだけど、むしろ描写がない方が日本人にとっては救いだったし、
そもそも狭い地震大国に山ほど原発があることの方が異常なので表現への怒りは国家へどうぞ。
それとアカデミー賞がこのタイミングでゴジラに光を当てた意味もちゃんと考えなくては。
