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百花のDKのレビュー・感想・評価

百花(2022年製作の映画)
4.0
自分も歳をとって親もいつそうなっても不思議ではない年齢となった。今は元気だけど老いからは誰も逃げることはできないのだ。
大学時代に仏教の授業があり先生のお坊さんが言っていたのをいまだに覚えている。『痴呆は言うなれば、死への準備なのかもしれません。そう考えればボケるのも生きて死ぬまでの間に通過する一つのプロセスとして理解できる』
人間がなぜボケるのか、本作ではアルツハイマーが原因がわからない病気として親子の関係と共に描かれる。
久しぶりの映画館での邦画だったけど作品が始まって数分でのめり込んだ。映像とか音楽のせいもあると思うが、母百合子が雨に打たれていた場所がなんという偶然か自分が幼少期を過ごした場所だったからだ。なんの事前情報もなくぞうさん公園をみたとき、驚きとともに昔の記憶も呼び起こされた。

母と自分の思い出が重なりながら印象的なカメラワークと音楽を堪能した。
自分は置いて行かれたことはないが、自分が置いていったものにおもいをはせ、あっという間の時間が過ぎた。後味はこれ以上ないくらい苦いものだったのと、2度も忘れられることになる泉の気持ちや、半分の花火の本当の意味を知った時の気持ちに思いを巡らせながら、三連休で混み合う中に幸せそうな家族をたくさんみながらクランベリーパークを後にした。きっと泉は幸せな家庭を持てただろう。特別な映画がまたひとつ増えた気がした。
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