あや

VORTEX ヴォルテックスのあやのレビュー・感想・評価

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)
4.5
素晴らしかったなあ。体力は持っていかれたけど。
自分も実家にいた時に認知症の祖母がいたので、作中の妻の「身近な人のことを忘れる」「突然攻撃的になったり感情的になる」姿はとてもリアルだと思った。演者の演技が凄くて、本当に痴呆なのかと思うし、ダリオ・アルジェントが心臓発作を起こすシーン、本当にこのまま死んでしまうのではないかと思った。

ずっと悲しい映画かと思ったら、そうでもない気がする。どことなくシニカルな笑いも入っていて、話し合いの時にずーっとおもちゃのミニカーをガンガンぶつけ合う孫笑うし、妻が認知症でも外で自分より若い女に迫るのお盛んすぎる。

二人が住んでいる家のインテリアもじっくり見たくなるほどすごく良かった。生きていた証のような、本や大量のビデオテープ、植物や雑貨など、、ノエの来日インタビュー読んでいたら「アパートメントを探して1ヶ月かけて美術監督と生活感ある家を作り上げた」とあってびっくりした。
体がこの世に存在しなくなると、使ってきた家具やものが部屋から全て無くなり、やがてそこには新しく誰かが住み、また思い出を作っていく。自分が存在しなくてもまた次の日からはいつも通り世界がまわっていく。
あや

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