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VORTEX ヴォルテックスのカオリのレビュー・感想・評価

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)
3.9
人生は夢のようである…
映画館で映画を観ることは夢をみている状況と似ている…
つまり、映画館で観る映画は、夢の中の夢なのだ。

1月劇場鑑賞案件…相変わらずレビューおっそ!
アウトプット苦手な自分にげんなりだわ…

ギャスパー・ノエ監督は、過去2作品ほど観ていて。
嫌いではないけれど、新作を劇場で観たいほどではない…かなぁ、な感じでしたが、、、
老いと病と死をテーマに人生最期の “死に様”を描いた作品…という設定でまず気になり。
何よりよ…キャストよね?
ダリオ・アルジェントって、あの巨匠ですかえ?
で、お婆さん役は、昨年秋に観たジャン・ユスターシュの『ママと娼婦』で娼婦役としてデビュー作だったというフランソワーズ・ルブラン。
娼婦が老婦でサスペリアが老夫とか!観たい観たすぎる…!
から、観てきました。

老夫婦がお花の咲く可愛いベランダで🍷乾杯し「人生は夢ね…」「人生は夢のまた夢だよ」と言葉を交わす冒頭…
以降、画面が2分割され、夫と妻それぞれの行動を追う形で物語が進む…。

分割された意味は勿論ありましたし良い演出ではあると思いますが(漫画好きにとっても漫画っぽくて良いなぁと)…分割されたうえで視点も距離もコロコロ変わるのが、慣れるまでちょっと目が忙しかったです。

前列ぎみの座席を取ったのは失敗だった…圧倒的に後方センターが勝ち組なやつでした…。

とにもかくにも主演2人の演技が素晴らしく、アルジェントが持病の心臓病のために倒れて一晩苦しむシーンなんて、本当に苦しそうで。あのアルジェントが!という感情だったり、同様な現実シーンを思い出したりなんだりで、涙しました…。
ルブランの常に不安そうで不思議そうに人を見るような挙動も認知症のそれでしかなくリアルに切なくなる。
あとは、2人の孫にあたる小僧が1人で遊んでいるときの怪獣さ具合も凄かった!あれは演技なのか…あれもまたホラー映画よりもホラーな怖さだったw

後半ずっと鼻すすって泣いているっぽい方がチラホラおりましたが…なんだか私には現実的すぎて…「アルジェントの部屋これ片付けるの大変すぎるだろう」「帰ったら部屋まじで片付けよ」とか、考えながら観ていました…。

分割演出は、終盤でかなり効果的になっていたのではないかな…と。
視点の切り替えはもう少しどうにかしてほしかったけど。

改めて、病や死への向き合い方、向かい方、について考えさせられる作品でした。
なんといっても夢だから、、、あっという間、気づいたら終わってますよ、ね。
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