ザリくん

バブルのザリくんのレビュー・感想・評価

バブル(2022年製作の映画)
3.2
清涼飲料水のCMのような若い瑞々しさ・爽やかさに溢れた(しかも実際にスポンサー商品バリバリ出てくる)パルクール映像美MVと思いきや、
虚淵節全開の壮大な世界観によるボーイミーツガールのセカイ系に落ち込む。
だが表向きはあくまでサマーウォーズやコナン映画のようなノリの気軽に見れるアクション。

このギャップが面白いと取るか、ヘンテコ感がするかで賛否が分かれていると思う。自分はポニョを見たあとなので(同じく大元の人魚姫を掘り下げた曖昧作品)幸いにもかなり腑に落ちた。虚淵脚本が普段何話もかけて回収するギャップの伏線を1時間半で一気に片付けた(しかも説明せず隠喩メタファーでの回収)から初見は駆け足の印象がある。あと尺足りてない。

中高生向けの作画タッチなのでアニメアニメしてるのだが(それ自体が嫌いな人も散見される)、ならば主役2人は声の演技が長けている人材を採用して欲しかった。萌え系美少女や高二病主人公に普通の声は浮いていた。

公開数週間でのネットの評判が悪かったのは「進撃の監督と虚淵が!」といういかにも硬派路線で行くような売り出し方を広報がしたせいで、ボーイミーツガールの軟派な部分(特に前半)に違和感を覚え心が離れた人が多いのだと思う。仮面ライダー鎧武の視聴者離れのアレ現象。加えてエロゲ脚本の経験も滲んでいたような(ここも好き嫌い分かれそう)。
序盤でEve流したのはベスト。

ウタの都合良い人外少女キャラも、
ヒビキのやれやれ系主人公キャラも、
一見すると只の中高生向けアニメキャラ(汎用性の高い記号的な人格)のようだがしっかり世界観に紐付けて理由付けされていたのが良かった。
自閉的態度が聴覚過敏を導き、聴覚過敏が歌を導き人魚姫(上位存在)の禁忌に触れ東京崩壊を導くのは、宇宙システム重力そのものがひっくり返るにはそれくらいしないとダメだよな・・・と納得した。
パルクールだけはルールよく分からなかった。分からずとも進撃鍛え上げの立体機動装置のようなアニメーションはキャッチーで面白い。

内容に納得がいかない人も、映画館のスクリーンと音響で聞いたら超楽しいんじゃないかな〜、デカい画面でスポンサー広告大量に植え付けられるの悔しいけど。
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