ブレーキの効かないスポ根。イザベル・ファーマン演じるアレックスの苦悩と狂気にフォーカスされ、血の滲む努力一本で才能に挑んでいく。ボートが川面をスーッと進んでいく姿が美しい。でも期待していたボート競技そのものの面白みはなかった。肝心のレース場面は音楽でやたらと煽る割に撮影が平坦で見せ方が微妙。一方でアレックスがどんどんインナーに没入していく感覚は凄かった。
なんでボート部の話なんだろう。一艘のボートに複数人で乗り込んで揃ってオールを漕ぐ。協調性が求められる中で異端は浮き彫りになる。そんな姿を描きたかったのだろうか。数ヶ月後には内容をすっかり忘れていそうな映画、っていうか既に半分くらいどんな映画だったのかぼんやりとしている。
ポスターをよく見たら『セッション』のクリエイターと書いてあり、調べてみると監督は音響技師だったそうな。確かに音への拘りは強く感じた。この映画は監督の実体験をベースにした映画ということです。