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恋は光のmaroのレビュー・感想・評価

恋は光(2022年製作の映画)
3.5
2022年日本公開映画で面白かった順位:54/92
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

原作は全7巻の漫画。
タイミング合わずで映画を先に鑑賞してから漫画を読んだ。
うん、「恋」という事象に真っ向からぶつかった潔い話だった。

よくある学園(キャンパス)を舞台にしたキラキラ青春映画とは一線を画し、「恋とは何だろうか」と悶々とした疑問を、自問とヒアリングを交えながら解き明かす文科系哲学恋愛映画。

この映画の面白いポイントは、「恋とは何か」という恋愛の大前提を大真面目に定義づけようとしているところだ。
恋愛について悩む話は数あれど、真っ向から定義しようとしたわかりやすい話は意外になかったんじゃないかなーと(僕が知らないだけかもしれないけどw)。

恋とは、近くて遠いモノ。
恋とは、触れたい、いっしょにいたいと思うモノ。
恋とは、自分が恋だと認識したモノ。
それぞれが恋に対して様々な解釈をしていく中で、あーでもないこーでもないと思い悩む若者の姿は、この歳になって見ると初々しくて眩しい。

そして、この映画は特に女性陣のキャラクターが面白い。
主人公の西条(神尾楓珠)と幼なじみで、親友っぽいポジションだけど、密かに想いを寄せている北代(西野七瀬)。
人付き合いがほぼなく、最も恋というものを哲学的に捉えようとしている東雲(平祐奈)。
人そのものに好意は抱かず、「人のモノ」を奪うことにステータスと楽しみを感じる宿木(馬場ふみか)。

中でもこの宿木がね、一番よかった。
人のモノを奪う性格の悪さはあるけど、今回登場したキャラの中では、人並みの恋愛経験がある唯一の人物。
でも、人のモノを奪う歪んだ恋愛しかしてこなかったが故に、北代と東雲の純粋な気持ちに劣等感を感じてる節があって魅力的なキャラだったな。
演じた馬場ふみかのハマりっぷりもよかったし。

ただ、やっぱり原作モノの作品は面白さの判断が難しい。
原作を読んでしまうと、映画はどうしてもそれとの比較がメインになってしまうし、漫画が映画の補完をするので、純粋に映画そのものの感想が書きにくくなる。
今回だって、映画は2時間の尺にうまく収めたと思うものの、その過程で端折られる部分もあるし、展開が異なる部分も多い。
だから、総じて漫画の方がストーリー展開が丁寧かつ、キャラクター同士の絡み合いが深掘りできるので、やっぱり漫画の方が面白いとは思う。
映画でも宿木にもっと焦点当てて欲しかった。
もはや単なる童貞の天敵みたいな印象しか残らなかったので。。。(笑)
それにしても、原作と映画でラストが異なるとは思わなかった。
これが一番の驚き。
映画は北代の救済だったのかなあなんて。

そんなわけで、恋愛にモヤモヤしてる人には観て欲しい。
つっても、基本は若者向けだね。
ある程度の年齢になると、若者たちの苦悩する姿に共感よりも微笑ましさを覚えるかも。
そんな方たちには、馬場ふみかのハマりキャラを堪能して欲しい(笑)
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