水鳥

恋は光の水鳥のネタバレレビュー・内容・結末

恋は光(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

良いファンタジーだった。ファンタジーで合ってるのかわからんけど…
あったかい。こんな風に心の底から温められるような想いが生まれるものなんだ、と思った。北代さんの愛情を追体験してるような気がした。すごいな。
恋ってなんかいいね!という気持ちが湧いたけど、物語だけでいいかな…という気持ちの方が大きいかも。作中の恋の感情をとても綺麗だと思ったし、それと同じくらい、北代さん、東雲さん、宿木さんの関係を、稀有で温かい素敵なものだと思った。友達って、すご…。恋愛よりよっぽど目的がないのに一緒にいて、心地よい居場所を作ってるんだもんな。
最後の、「北代は俺にとって光なのだ」って台詞。割とありふれた言葉だと思うけど、すごく良かった。そんなに嬉しい言葉ある?!って思ったもん。隣にいるだけで好きな人の光になれてるって、嬉しすぎるよ。前に美術館で見た絵(ラウリツ・アナスン・レング《遅めの朝食、新聞を読む画家の妻》)で、作者の妻を描いてるものがあったんだけど、後ろ姿なのに日の光が当たってめちゃくちゃ温かく輝いてるように見えた。恋は光じゃん…。
ちょっとだけ気になったのは、エンドロールの途中で宿木さんのシーンが入って「ちゃんと恋しよ」と言うところ。ちゃんとって何??ってなっちゃった。確かに、人の彼氏が欲しくなるって全然褒められたものではないし現実にいたら友達にはならないと思うけど、でも。作中で恋は複雑化してる、とかそんな台詞がけっこう出てきてたのに映画を締める言葉がそれか…。ってなった。違う見方をすれば、作らなくていい敵ばかり作ってしまうような恋愛の仕方から抜け出そうとする、宿木さんにとって上向きなシーンだよなとは思う。でも、「ちゃんと」か…。あーでも周りの友達に「宿木もちゃんとした恋しなよ」って言われて終わるよりは全然良いな。それ嫌すぎ!ちゃんとした恋って何〜?!てめーに私の真実がわかるんか?!「大層よろしい恋してはるんやなあ」になっちゃうわ。誰?…まあ、宿木さんの恋はいらない試練に苛まれるスパイラルだと思うから、自分からそのスパイラル抜け出そうとしてるのは普通に応援したい。
水鳥

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