ユーライ

グリッドマン ユニバースのユーライのレビュー・感想・評価

グリッドマン ユニバース(2023年製作の映画)
2.5
『GRIDMAN』は数話のみ、『DYNAZENON』は未見の状態で観た。『GRIDMAN』は放送当時、今更自意識90年代かよ批評受け狙いかと洒落臭さが目について途中で切った。総決算はどうなっているのか軽い気持ちだったが、劇場版としての不備はないんだろうと思う。実写まで使用した複雑な入れ子構造を巧く使って、一見さんにも一応は説明している良心的な作りになっている。だが、マルチバースを扱う手付きが『エブエブ』と同じく「後は流れで」なのはよろしくない。設定したルールを後からなんぼでもひっくり返して一件落着でございはズルい、成立してないと思うのだ。何とでもなるならいくらピンチに陥ってもひたすらどうでもよくなる。説明台詞の連打を通す判断が読めず。監督以下作っている人達と私が「好きなもの」は大体被っていると言っていいはずだ。だのに終始上滑りしていくこの信用の置けなさは何なんだろうなーという疑問は、ラストで解決する。虚構の素晴らしさを礼賛しておきながら、結論が告白の成就。付き合ってください前から両想いでした良かったねチャンチャンでジエンドときたもんだ。あーこれはいけない。全然感心しない。こんなもん認められません。やろう、ぶっころしてやる。何故なら愛だのラヴだので騙くらかすその姿勢は、虚構が持つ何の見返りも保証もない非生産性故の美しさに対する冒涜に他ならないからだ。お前ら、セックス出来ればそれでええんかと。エンドロール後に彼氏の家で蟹鍋つついてる。そりゃ良かったな結構なことですね。全くもって健全な少年少女達の非日常な甘酸っぱい冒険譚、1ミリも共感出来ない私にとって、エヴァのような「ここには自分が描かれている」と感じる瞬間はついぞ訪れなかった。次代を担う作り手が月9に任せておけばいい価値観にベットする。残念だった。
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