ユーライ

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのユーライのレビュー・感想・評価

3.0
とにかく理屈抜きの「面白い」映画を期待したが、全然合わない。まずマルチバースをSF的に解釈するのではなく、ナンセンスコメディとして消化していく手付きが駄目。どういう条件を満たせば成功するのかルール設定が曖昧、その場のノリで決まるからどんどんどうでも良くなっていく。急速に興味を失っていくのを実感した。怒涛のモンタージュで一見豊富なイメージはむしろ手数が少ない。戦闘手段がカンフー縛りは駄目だろ。最低限銃撃戦、ジャパニメーション挿入でロボットに乗って戦うくらいはやってくれ。地に足の付いたドラマからスタートさせておいて、最後はそれっぽい抽象的なメッセージを登場人物が言わされているだけの状態になる。「慎ましく生きるんやで……」って何だそれ。引用元の一つである『マトリックス』なんて「世界を変革するにはテロしかねぇ」な野蛮極まるお話でしたよ。保守的過ぎる。「実は選ばれし者である私」を語るに相応しい厨ニ力とアナーキズムが圧倒的に不足している。シャマランの爪の垢を飲んでほしい。呑気でいられない切実な世相の反映なんだろうが、こと映画でそんな分かりきったことを発信してほしくないんだよな。そういうことは知識人とかに任せておけばいいんじゃないですか。
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