kurage

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのkurageのレビュー・感想・評価

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『霊幻道士』が好きだった自分には、とてもツボにハマる作品だった。
アニメや映画、ゲーム、サブカルが大好きな人たちが自前で極めた最高の技で作ったような、同人誌的な勢いを感じる作品と自分は受け取った。
マルチバースはそんなに新しいものとは思わないけど、映像が90年代のフジテレビの深夜ドラマ(バナナチップス・ラヴとか)みたいだったり、さまざまな映画のオマージュだったり、切ったり貼ったり、編集が楽しくて、最後までワクワクしてしまった。
アカデミー賞に値する作品かどうかは、わからない。時代のムードもあるのかもしれない。パンチの効いた皮肉をさらりとぶっ込んできたコメディではある。確定申告の時期にぴったりの作品で、感情移入はできた。母と娘の葛藤も。

最近話題になるリメイク、オマージュ作品などを観ていると、もちろん質(技術)においては過去作を随分と超えていると思うのだけど、自分はもうすでに知った文脈のものを最新鋭の見せ方にしたものを観て喜んでいるだけなのかもしれないと思った。もちろん、ちゃんと作品に内包されたメッセージは自分なりに受信しているとは思うのだけど、観客としての自分の冒険心のなさ、想像力の貧困さにちょっとがっくりしたところもある。まあ、つべこべ言わず、楽しければいいのか。
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