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パスト ライブス/再会のkurageのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
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「ノーベル賞を取る」と家族でトロントに移住し、NYで作家になったノラ。
優等生で、韓国人男性らしい堅実な生き方をする会社員のヘソン。
12歳、24歳(ネットで話すのみ)と2度の別れを経て、24年ぶりに再会する。

二人が再会したことでノラの心が揺さぶられるのはいいとして、ノラの夫(英語話者)が隣にいるのに、ここぞとばかりにヘソンがノラに韓国語で打ち明けるシーンは、見ていて辛いものがあった。

思わず涙した場面は、ヘソンがタクシーに乗車するところ。
隣席の男性が同じタイミングですすり泣きはじめたのは、ヘソン役ユ・テオの抑制のきいた演技があまりにもリアリティがあったからだろう。
心と言動の裏腹さと切なさを、僅かな体の動きと表情で語っていた。

ノラの夫との関係性は面白い。作家同士の夫婦ゆえに、自分の感情も相手の感情も目を背けない。想像力豊かに相手の心の揺れを見つめている。そこにはちょっとした変態性と許容性を感じさせるとともに、だからこそうまくいく二人なのだろうなと思ったり。

ノラは、ヘソンとは「思い出」でよかったんだと思う。
幼馴染の再会ラブストーリーというとてもシンプルな内容だからこそ、二人の感情に集中できた時間だった。

ビフォア3部作をまた観たくなりました。
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