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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのfishのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

公開中から気になっていてやっと見られた!!!
前情報で色んな評価されていることをちらちら見ていたから、私はどう感じるだろうがちょっと不安だったけれど、めちゃくちゃ良かった…!!


全ては原子から成っていて、あなたも私も全部同じ、究極的には石も人間も同じものでできてる、つまり無。という仏教的な考え方を、すりガラスのあっち側とこっち側、みる方向によって絶望的にも希望的にもみられることを、こんな映像にこんな景色で見させてくれるのか、、、と衝撃を受けた。

エブリン、娘、家族皆がたどり着いた、結局ほんのわずかしかないような大切なひとときなら大切にしよう、愛を持って相手と接しよう、ていう答えは、小学校でも習うような道徳的なことだけれど、やっぱりそれが真実。真実なのにも関わらず、税金だの家族の世話だの、繰り返される煩雑な毎日を過ごしていると蔑ろにしてしまうようなめちゃくちゃに難しい。
今世紀最大の大きな発見が人類にもたらされたら、人類(自分)がすごくちっぽけで愚かで、本当は惑星の端っこにある取るにたらないものだって気がつくかもしれない、でも、それでも今目の前にいる大切な人を大切にできるのは自分で、このひとときは今世紀最大の発見と同じくらい、自分にとって意味があるものなんだ、と目まぐるしく大迫力の映像とカンフーでメッセージが送られてきた。

はちゃめちゃなアクションシーンを経てからの岩になった親子の会話場面の温度差や場面転換、こんなにもはちゃめちゃな映像を繋げていいんだていうのが衝撃だった。でも、それを見させられたからこそ観ている我々に気づかせてくれるものがあるという摩訶不思議で気持ち良いくらい混乱と思考を繰り返させてくれるこれぞ映画!!って感じの映画だった。

一回じゃまだ咀嚼できていないところも多いからまた観たい。
最後は、親子の葛藤に自分を重ねて泣いた。まさか、感情移入できる映画だと思わず、不意打ちに心を揺らされたーー!

(大学時代大好きだった、エンドロールを流しながらフィルマークスに鑑賞直後の感想を打ち込む幸せなひとときとまた再会できて幸せだった。この束の間のひとときも、隕石の衝突くらい私にとっては意味のあるものなのかもしれない…笑)

メモ
・私もあなたも人形も色鉛筆も石も同じ。おんなじものでできてる。本当にたまたま、そこに意味なんてないのかもしれないけど、たまたまの確率で私とあなたは今一緒にいる。→たまたまなんだけど、それは変わらないんだけど、でも私はあなたと今一緒にいたい。この膨大な時間と宇宙の中でほんのひとときの取るに足らない時間を大切にしたいと。愛。
・自分でも気が付かないうちに染み付いている親の束縛やしがらみ。親との和解。見たいものだけを見るのではなく、あなたをちゃんとみること。相手や子供への期待や束縛は、苦しみを生む。
・人生は膨大の選択を通して、その人生が決定されていく。違う選択をしても、それでも人生は続いていく。→なぜ、今までの選択全てに絶望した、なにも持ってないイブリンが選ばれたの??→色んな分岐の可能性があった潜在能力を秘めている、でもその世界では一見平凡な生活を送っている彼女に他の自分の能力をスキャンできる可能性を秘めていた…?
・優しくあること。その他大勢の敵にも人生があり、優しさを向けるとその人が見えてきた。争いは争いを生む。
・本当は争いたかったのではなく、孤独だったから一緒に同じものを見て欲しかった。本当の孤独が闇を生む。
・くだらない、は他の次元に飛べるほど尊い!笑 →くだらない、ってこの短い人生にとってめちゃくちゃ尊いもの、どれだけくだらないことに全力で楽しんで力を注げるかっていうのが個人的な最近のテーマだったからめちゃくちゃ刺さった笑
→くだらないこと/枠を壊していくことが異世界に飛ぶための鍵、という解釈なるほどすぎる。よい。
・こういうテーマを綺麗な音楽として表現したり、現代アート作品にしたり、綺麗な言葉で表現したり、むつかしい言葉で表現したしたり、色々あると思うけど、アメリカンなSF表現になるとこうなるのか、の面白さ
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