このレビューはネタバレを含みます
『観る前の自分には戻れない』
というキャッチコピーに惹かれて観たいと思った。
また、どこかのレビューで、まさしくそうだった、という視聴者の感想を観て、より深く興味を持った。
結果として、確かに、観てしまった後、観る前の自分とは違うんだろうなと思う。
今まで、水に対して性欲を持つ人がいることを正直言って知らなかった。動物に対して、というのは本屋さんでそういう本が並んでるのを観て事実としては知っていたけれど、それがどんな感覚なのか、どういう意味なのか正直理解できていなかった。
この映画を見て、正しく何かを理解できたわけではないと思う。ただ、観ていない自分より、所謂多様性ってなんだっけ、を少し注意深く捉えるようになれそうだと思う。
稲垣吾郎さんの役は、少し極端なイメージがあったけれど、でもこの映画から一歩距離を置いてみると、私そのものなんだろうな、と思った。きっと、この映画を見る前の私は彼と同じような目をして、彼らを見ていたと思う。
その感情自体も、分からないから故の怖いという感情も、大学生の彼が言っていたように持っちゃいけない感情ではないと思う。
ただ、この映画を観た後に思うのは何かの一部分を知ったからと言って、『本当に』知ってるわけではないし、知ってると思い込むこと自体が誰かへの暴力になっている可能性を忘れたくないな、ということ。
そういう意味で、そういう考えを持っている、という点において、観る前の私と今の私は違うんだと、そう思いたい。
普通のことです。いなくならないよ。
普通、てよく使うけれど、普通って誰が決めてどうやって理解したんだっけ。
