FrankTannock

すずめの戸締まりのFrankTannockのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

世界観よし、ドラマ性よしのいい作品だと思ったけど、どこか走りきらない印象を受けた。
主人公が災害遺児で、扉を締めたいという動機はわかる。しかし、もう一方のイケメンとの人間ドラマがしっくりこない。

「すずめちゃんは、イケメン君を一目見て惚れて、椅子になった王子様と旅を続ける中で想いが深まった、、、、」
と思いたいけど、作品を見ている中で「
そもそもこの子はなんで恋しているんだ」という疑問符が常について回る。
ハウルの動く城的魔術師イケメンは他にもいるだろうに。
もっと言えばこの問題は、この作品の象徴的な問題である気がする。

要は人間関係がダイジェスト化されているのだ。
ロードムービーだから、旅先で出会う人々それぞれのパートは短くなるにしても、
「なぜ四国のみかん姉ちゃんは旅館に止めたのか?」
「なぜ神戸の一家はたまたまバス停にいた彼女を神戸まで運んだのか?」
「なぜおじさんは病人として登場する必要があったのか?」
などなど、脚本の都合や性善説を訴えたい気持ちもわかるけど、シーンを立たせていないままダイジェストで進むから人間パートが、災害パートと並走していない。

勢いで進んでスッキリするのは、ランボーやエクスペンダブルズなのであって、人間を描きたいなら人間と向き合うべきなのではないか。
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