TartarsauceX

すずめの戸締まりのTartarsauceXのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.7
「扉を開いていく物語ではなく、扉を閉じていく物語が必要だ」ということを、特報か何かの段階で監督が話しているのがずっと印象に焼き付いていた。
今回映画で描かれた閉じるべきトラウマは、物凄くストレートに "震災"だった。
震災以降の新海監督作品群は、震災に纏わるテーマを描いてきている。『君の名は。』は "私が災害の現場にいたならば何ができただろうか、という祈り“、『天気の子』では "人災と不条理の中で生きる若者の開き直り"を描いていることを感じてきていて、今回のすずめに対して感じている感覚を言葉にするなら、 "「お帰りなさい」を言うことができなかった人たちが「いってきます」を言うための映画" だと思った。
3.11の震災をこの目で見た訳ではない自分がこう思うと発することには、おこがましさも感じる。けれども、居なかったからこそその後関わり続け、東北に身を置くことに決めた僕は、震災の後を生き続けてきた人たちの顔がたくさん浮かぶ。そして、その人たちがもう出会えなくなってしまった大切な人たちのことも想像する。
あれがあったから大いに失ったものがある。そして、あれがあったからこそ讃えるべき過去と今もある。

また観たい。
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