ひろぽん

すずめの戸締まりのひろぽんのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

宮崎で平穏に暮らしていた女子高生のすずめが、大学生である草太との出会いがキッカケで災いを呼び込む扉の存在を知り、戸締りの旅へと出る物語。


3.11の震災を題材にしたテーマで、辛い過去と向き合い閉じるべきものは閉じて前に進もうという強いメッセージ性を感じられる作品。

宮崎から始まり、愛媛、神戸へと向かい東京、宮城とその地域に住んでいる人たちとの交流を重ねながら、各地を転々と巡って17歳の女子高生が旅をしていくロードムービー。

ここ1年くらいで旅行に行った場所がたまたま重なり登場しており、自分も映画の中に入ったかのように親近感が感じられた。新神戸駅の周囲の建物や改札、御茶ノ水駅周辺にある通りや近くにある順天堂大学、秋葉原の街並み、中央線など細部までリアルに存在する場所や建物が再現されていてワクワクしながら観ていた!

東日本大震災を経験した自分からすると、過去のことは全部向き合っていたと思っていたがそうじゃなかった事に気付かされた。すずめたちが戸締りをする度に、自分の過去の記憶の扉が開き、当時の記憶が蘇り複雑な心境で鑑賞していた。特に地鳴りや緊急地震速報のアラート音は身体がゾワゾワするようなとても嫌な不快感を感じた。

「このへんって、こんなに綺麗な場所だったんだな。」という震災を知らない立場の芹沢と、「綺麗?ここが?」と辛い過去の場所だと感じる被災者側のすずめの、立場によって同じ景色を見ても見え方が変わるというシーンはとても印象深かった。この作品は、自分からするとすずめ側の視点だけど、知らない人からすると芹沢のような視点で楽観的に観てるんだろうなと思った。劇場で鑑賞後に後ろのちびっこが猫の“ダイジン可愛かった”と楽しそうに話すものだから、確かにそうだよなーと思いながらその場をあとにした。

“後ろ戸”は過去の記憶のようなもので、“ミミズ”は見捨てられた土地の霊魂や過去の目を背けたトラウマを表してるのかな?

10年以上経っても津波の海水で浸水した場所は雑草すら中々生えないから、草が生い茂ってる‪描写には違和感を感じたけど、雑草は前を向いてるという解釈なのかなと思った🌱‬

ダイジンやサダイジンの存在の謎や、東の要石がなぜ抜けたのかといういくつかの謎が残る。

ラストのすずめが自分の過去と向き合うシーンはとても感動してしまった😭

この世は常に死と隣り合わせで明日死ぬかもしれないし、災害があっても強く前向きに生きていくというメッセージを感じる。それと、過去と向き合って気持ちの整理をするのは簡単な事ではないなと思った。

神木隆之介演じる芹沢の懐メロを流しながら、人に合わせて車の選曲をするキャラが1番好きだったな〜😎
1980年代のエモい名曲やラストのRADWIMPSの『カナタハルカ』のエンディングの終わり方が最高だった!
「行ってきます」で始まり、「ただいま」で終わるというの良き。
ひろぽん

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