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すずめの戸締まりのKnIのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

なんだかんだ毎回新作を楽しみにしてる新海誠。前回の天気の子をIMAXレーザーで鑑賞して、移り変わる天気が作り出す展望の美しさや、その下に暮らす人々の危うさ、大人が失いがちな10代の勢いみたいなのが眩しくて惹かれてた。

そんな感じに天気の子を気に入っているなか、次作であり最新作である今作は期待半分、不安半分だった。しかし、そこにあったのはNEW新海誠だった。

仮想災害から実在の災害へ。
今までは彗星の落下や大雨による水害などが事象として描かれていたが、今回のテーマは3.11の東日本大震災。今まで以上にメッセージがストレートで台詞の端々が胸に突き刺さってくる。オブラートに包んでいたからこそエンタメ作品として楽しめていたが、今はもう日本人なら身につまされる戦争映画のような鋭利さを持っていた。今までRADWIMPSのMVなんて言われてた映像と音楽のポップさも、歌入り楽曲が激減して鳴りを潜めた。

そしてそれが故に、ポジティブなメッセージへの帰結をすんなり受け入れられない自分がいる。勿論被災者じゃなければ震災の作品を製作するな!と、いう事じゃ無い。
だけど被災者じゃない者がどこまで踏み込んでも良いのか。腫れ物にするわけでも無く、その距離感が未だ分からない自分にとって新海誠が結んだ言葉に納得し切れていない。監督自身が得意とするボーイミーツガール作品としての清涼感とのギャップにチグハグさを感じてしまった。

監督作の1つの到達点であり、集大成であるのは間違いないだろう。後は人の好みそれぞれ。次の作品も楽しみです。
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