このレビューはネタバレを含みます
フェミニズムと、その先。
公開時観に行かなかったのを少し後悔していたので、今回この再上映のタイミングで鑑賞。
構成自体は分かりやすくて、女性社会のバービーランドで過ごしていたバービーが、ひょんな事から人間界に行き、男性社会を目の当たりにする。残念な気持ちになって帰ってきたらバービーランドまで男性社会になっていて、男性社会に辟易している人間界の女性の手助けもあって、再びバービーランドは女性社会を取り戻していく。しかし、バービーは様々な経験を経て、自分が自分らしく居られる場所に身を置く事を選択する。と言った流れ。社会問題を取り扱うとどうしても作品全体のトーンが重たくなってしまうところを、バービーという下地やパロディネタによってポップな仕上がりにして観やすくなっている。
フェミニズムの作品ではあるんだけど、その先を考えられているのに好感を持った。正直鑑賞後に攻撃されたと思った男性は他人を気遣う想像力が足りていないと思う。
目指すべきは男女平等な社会だと示唆されているし、ステレオタイプの男性像をネタにして皮肉で笑いを取るシーンも、それで苦しんでいると男性社員が吐露するシーンがある事で無視している訳じゃない事が分かる。
行き着く先は各個人が肯定される世界であり、その過程において女性の地位向上を主張しているように感じた。
ただ、作品にハマる層は広くないかもしれない。
先述したような攻撃されていると感じる人にとっては苦痛だろうし、ある程度分かっている人にとっては鑑賞後の満足感はそんなに強くないように思った。
他の作品賞にノミネートされた作品群がどのような仕上がりか楽しみが増すばかり。
