しろくま兄サキス

すずめの戸締まりのしろくま兄サキスのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.0
【ドア。ドアの向こう側。ドアを開ける、鍵をかける】
 最近、色んなアニメ映画のポスタービジュアルが「新海構図」で描かれつつあるね。独特の色合いで描かれる日本列島は廃墟でさえも美しい。何がなんでも美しく描いてやろうという強い意志。さらには青空をバックに巨大な"蚓"がずもも〜んと屹立するシーンは相当なセンスオブワンダー。
 震災をテーマにするのはなかなかに勇気がいったことだろう。触れてほしくない人も少なくないだろうし、悲劇をエンタメ化する事に対して批判も織り込み済みだろうが自分は支持したい。日本人ならどうしたっていつかは乗り越えなきゃならない出来事なんだから。
 新海作品にしては珍しくヒロイン視点で物語が進行するセカイ系。暗い過去を抱えるすずめは異能の力を持つイケメンにコロっといっちゃうんかのう…。ワシらが新海誠作品を支持するのは童貞特有の“彼女“への幻想に身に覚えがあり過ぎるからってのも一つの要因なんだが、この作品ではそれが薄まって普通の良いアニメ映画になった。一抹の寂しさも禁じ得ない…(笑)。