回想シーンでご飯3杯いける

すずめの戸締まりの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
2.8
購入したプロジェクターの大画面を楽しむシリーズ。2作目は新海誠監督による「すすめの戸締り」。九州の田舎町を舞台に自然現象が描かれるので、作品が描こうとしている世界観を存分に楽しむ事が出来た。

「災害三部作」とも呼ばれる近年の新海作品は、基本的にどれも被害者視点の物語。一方で加害側は人間ではなく自然災害なので、人間であれば誰でも主人公の側に立って鑑賞する事になる。意地悪な言い方をすれば、純度100%の共感映画であり、思い出してみれば、ナウシカの時代から日本で大ヒットするアニメ映画は、基本的にこの手法を用いた作品が非常に多いのである。そして主人公はどれも少年少女である。

今作では主人公こそ高校生ではあるものの、叔母や、知り合った大学生等、個性的な年長者が登場するし、ロードムービーとしての側面もあって、前作「天気の子」に比べれば、豊かな感情を喚起する作品になっていると思う。ほんわかとした笑いの要素も良い味付けだ。

しかし、幼い少年少女が世界を救う、しかも相手は自然災害という、もはやテンプレ的とも言える設定(ポスターの構図も全て同じ)から、新海誠も、そして日本映画自体も、そろそろ離れて、悲劇や感情移入とは違う映画作りに挑んで欲しいとも思うのだ。