回想シーンでご飯3杯いける

カラオケ行こ!の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
3.8
カラオケ大会で最下位になると兄貴分から恐怖の罰ゲームを受ける事になってしまうヤクザが、歌のコーチとして選んだのは、合唱部の部長を務める男子中学生。いかにも漫画が原作と言う感じの「実際にはあり得ないけれど、あったら面白い」ストーリー。僕が大好きなパターンの映画である。

最近は一風変わったコワモテ役が多い綾野剛の可愛さも見所なのだが、それ以上に注目したいのは、部活物としてのしっかりとした作りにある。卒業と声変わりという、中学生男子の成長に於けるほろ苦いターニングポイントを軸にしたドラマがしっかり構築されているからこそ、全く畑違いのヤクザが絡む事で生まれるトリッキーな展開に身を任せてストーリーを楽しむ事が出来る。

監督は、女子高生の部活物「リンダ リンダ リンダ」で、ペ・ドゥナにブルーハーツを歌わせた山下敦弘。今回も彼がその手腕を遺憾なく発揮している。本作に於ける綾野剛は、「リンダ リンダ リンダ」でのペ・ドゥナに近い配置ではないだろうか。そのちぐはぐなコンビが、他に無い味わいの青春劇として結実する。名作という言葉は似合わないかもしれないが、100分ちょいの誰かに薦めたくなる映画である。