すごい良かった。めっちゃ泣いた。
感情や思い出は過去のものとして解釈されがちだけど、いま脳が想起している最新の想いで、思い出している限り、常に新しいっていう話を思い出した。
ミミズは映画の中では地震のメタファーだったけど、きっと本当は心の中の苦悩や絶望、喪失。
あまりにも大きな絶望や喪失は、身体の中が常にそれらで埋め尽くされてしまう。
しかも悲しいことに、喪失は必ずそれ以上の大切な愛情がないと生まれない。
喪失の中には、大切な美しい想いと暗く絶望的な想いが混在している。
だからどれだけ苦しくても、その大切なものを見たくて、その思い出の扉を開いてしまう。
でもいつかはその絶望の想起の扉を閉めて、封をしなくては光が見えない。
扉を閉めるときは小さくとも、あたたかな想いを一つ一つ確認してから鍵をかけていた。
要石が、大切な母の愛情と新しく生まれた恋が混在していることも必然で、喪失の中にどうやって光を照らすのかを考え抜いた末の、愛が溢れた作品でめっちゃ泣いた。
忘れ去ろうとするわけでもなく、しっかりと鍵をかけて、「いってきます」って新しく鍵を開けて終わるラストのあり方も素晴らしかった。
日々の何気なく想起された愛や気持ちをちゃんと大切にしていきたいと感じさせてくれる作品だった。
何よりその確信部分をシナリオやセリフではなく映像美で描ききっている新海作品の素晴らしさ…すごい。よかった。