たかちゃん

クリーン ある殺し屋の献身のたかちゃんのレビュー・感想・評価

2.5
クリーンって、殺害現場の死体処理係かと勝手に思い込んでいたら、そのままゴミ回収車のドライバーだったのね。手先が器用で、廃品を修理して古物商に持ち込んだり、孤独な少女の心を開いたり、スラムの良いおじさん。実は凄腕の殺し屋。その少女がチンピラ(実は街のボスの息子)に目を付けられ、麻薬中毒にされそうに。怒るクリーン。チンピラを半殺しに。怒るボス。「娘を見せしめにしろ」と手下に号令。クリーンは娘と逃避行。しかし追いつかれて…。道具箱からスパナとドライバーを取り出し、それを武器に闘うクリーン。
陰影を活かした撮影はいい。ひ弱そうな外見のブロディが実は、という狙いも悪くない。しかし展開に驚きがなく、ボスのキャラに凄みがないし、腕利きの子分もいない。ただの大勢でしかないし、チンピラたちと娘、そしてクリーンの日常が描かれていないので人物像が弱い。エイドリアン・ブロディは製作・脚本・音楽まで手掛けているが、この仕上がりに満足しているのだろうか。森一生の『ある殺し屋』、ウォルター・ヒルの「ザ・ドライバー」、メルヴィルの「サムライ」を観ているので、どうしても物足りない。せめて、ブロンソンのデス・ウィッシュ・シリーズのような悪人浄化のカタルシスがあれば、と思う。
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