たかちゃん

ボストン1947のたかちゃんのレビュー・感想・評価

ボストン1947(2023年製作の映画)
3.9
1936年ベルリン・オリンピックのマラソンで、日本の選手として金メダルをとった孫基禎(ソン・ギジョン)。韓国では英雄扱い。1946年には孫基禎記念マラソンが開かれる。コーチのナムは、1947年ボストン大会で韓国選手を出場させたい。その人選に苦慮。ソという青年に注目するが、賞金目当てのマラソンを選んで出場している。
実は入院している母の入院費を稼ぐのが目的だった。泣かせどころとしては凡庸だ。ついでに言うと、孫基禎の先輩とはいえ、ナムも孫にタメグチで接するのも、ちょっと不快だ。そして、ようやくボストン行きとなるが、アメリカから保証金を要求される。韓国は独立国ではなく難民国だからだ、という。しかも太極旗ではなく、星条旗での出場だ。記者会見でマスコミに訴える一行。記者らの応援もあって、協会は折れ、特例として太極旗を認める。国、民族へのこだわりを強調した韓国らしいエピソードとして印象に残る。そして当日のマラソンスタート。ソの走りはいつしかトップに。そこへ、見学者の中から突然犬が飛び出し、ソは転倒。足が痙攣して立ち上がれない。次々とランナーがソを抜いてゆく。彼は走れるのか。
自分より国のため、民族の栄光を担って走るという拘りが、小生にはついてゆけない。
マラソンはチームプレイではない。個人、自分との闘いではないか。国とか民族の前に、自分の壁への挑戦のはずだ。
なのに、母親だの、犬による転倒から立ち上がり、走り出す姿に多くの観客はなぜか感動するのだ。『シュリ』の監督だが、泣かせどころを押さえた、古色蒼然とした演出が逆に成功の要因か。
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