中国を舞台にしたスパイ劇。日本人は当然悪役。チャン・イーモウ『崖上のスパイ』の映像美、ロウ・イエ『サタデー・フィクション』の上海を舞台にした諜報員の暗躍。本作も上海を舞台にしたスパイ活動を描いているが、スリラー、サスペンス、アクションと見せ場の連続で、面白さでは3作中、ずば抜けている。独特の語り口として、後で依然のシーンが繰り返されるのだが、それは省略部分を見せることで、パズルのピースのひとつが観客に与えられ、最後にゾッとする全体図が見える仕組みになっている。アクションも見ている方がくたくたになるくらい凄まじい。もう立ち上がれない、と思わせ、また格闘が続く粘りのある見せ場が凄いのだが、スリラーとしても傑出した作品。
