いつもいっちゃん

生きる LIVINGのいつもいっちゃんのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.8
アカデミー賞主演男優賞、脚色賞ノミネート作。
黒澤明監督の「生きる」をイギリスでリメイク。
癌によって死期が近い男。
役所で働く彼は周りから避けるように生き、自分の意見も言わない。
それに合わせて周りからも避けられる日々。
自らの人生を振り返り、また新しい自分を発掘する数ヶ月。
生きる意味と幸福についてを描く。

ビル・ナイが凄く良い!
正に眼福。
紳士らしさと人間らしさの間で揺れる英国人を抑制の効いた味わい深さある演技で体現。
だからこそ映画全体が優しく上質な仕上がりになっていると感じました。
そしてクラシックな演出も素晴らしい。
そしてスマートな上映時間も好感。
その時代感にタイムスリップするかのような映画体験でした。
決められたことしかしなかった毎日を悔やみ、何を残したのか。
後への影響もちゃんと描くことで、ただの男が行きた意味をズシンと残していく。
自分が置かれている状況と心境を独白する場面が気持ちを押し寄せてくる分、後半の変化に効いてくる。
生きていると妥協してしまうこと。
それを変えていくことは簡単なようで、実は困難。
小さな変化から生まれるドラマに素直に感動しました。
ヒューマンドラマとしてやはり名作。