ネオねお

生きる LIVINGのネオねおのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.5
ビル・ナイがアカデミー主演男優賞にノミネートされた作品。誰だったか答え合わせした。何度も彼を見てるけど、どこで?って
MINAMATAだったり、幸せの答え合わせだったり、とても渋くて素敵なイギリスの俳優さんでした、覚えなくてはと思いました。

生きるは黒澤明の作品でも見なきゃねと思った、何十年前にレンタルビデオ屋さんで借りて見た作品です。イギリスリメイク版でも、ほぼ同じ内容で生まれ変わることができてしまうなんて驚きでした。役所仕事というのは、どこも同じように責任逃れで惰性で行われてしまったりしてるってことなんですね。人間はどこに住んでいても、国は違っても心動かされるものは、普遍性を持っているんだなと思いました。

個人的には、若かった頃、上司から、その若さを羨ましがられたことを思い出しました。初めて食べる河豚を大喜びしていた時です。歳をとるってなんて、感動が少なくなるんだろう、おじさん達はと思ったものです。経験を積み重ねるごとに、惰性で生きていくようになるのはつまらなすぎると思います。
で、退職と同時に亡くなった上司のことがめっちゃ思い出されてか、映画を見てすごくなんでもないシーンで泣けました。
生まれ変わったら漁師になりたいって言ってました。釣りが好きでしたが、仕事でずーっと忙しく、退職したらっていろいろ計画してたことは全て無駄だったと。退職と同時に入院。3ヶ月で。
膵臓癌でした。

黒澤明の生きるでも、イギリス版でも若い女の子から、生きるってことを思い出させてもらっていて、本当のことを、やっと打ち明けられたのも息子でも、長年一緒に仕事をしていた同僚でもなく、さっさと仕事を辞めて、新しい仕事についた若い女の子。その生きるエネルギーに触れて小さいけれど、満足いく仕事をやり遂げて去っていくのは何か残した満足感で最後幸せだったんだよねと思った。どちらも雪の中ブランコを漕ぐシーンがあるけど、ピッタリ収まって素晴らしいシーンだなと思いました。
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