ウクライナ侵攻が始まったあと、プーチン暗殺を推奨するような声が上がった。賞金首をかけたオリガルヒもいたし、「ロシアにブルータスはいないのか?」と投稿した米議員のツイートも報道された。
私は「もし自分がプーチンの側近だったら、ためらいなく実行してやるのに!」と考えていた。ただしこの映画を観るまでは、の話である——
第二次世界大戦前に、なんとしてでも戦争を止めようとする青年たちを描いた映画である。もともと好きなジャンルではあるが、ちょうどこの時期ということもあり、のめり込んで観た。
やはり必要な戦争、やるべき戦争などないのだ、とあらためて思わされる内容。最後までダレることはなかった。
しかしその一方で思ったのは、たとえ自分が歴史を大きく塗り替えることのできるバトンを渡されたとしても、それを受け取るにはものすごく大きな勇気がいる、ということである。
そして観賞後、私はつぎのような結論を出した。
たとえブルータスが現れなくても非難はできないし、またするべきではないと。まちがいなく、ひとりの人間が背負える業の大きさや種類は違うのだ。ただプーチンの場合は、そこを過信してしまった気がするが。
[ドイツ語吹替音声+日本語字幕]2022/05/08 Netflix
P.S. このレビューを書いた直後、実際に暗殺を試みる動きがあったというニュースが入った。結果は残念だったが、勇気あるひとたちがいたことをうれしく思う。