マインド亀

骨のマインド亀のレビュー・感想・評価

(2021年製作の映画)
4.0
見てはいけない『儀式』を観てしまった…チリの政治的暗部を映した悪夢

●『オオカミの家』の同時上映にて鑑賞。こちらの方が『オオカミの家』より3年後の作品なんですね。そして『オオカミの家』に惚れ込んだ「ミッドサマー」のアリ・アスターが製作総指揮。
『オオカミの家』レビューでは詳しく書きましたが、この『骨』についてのバックボーンやチリの政治的背景については、パンフレットのラテンアメリカ映画研究家の新谷和輝さんが寄稿されている一部に詳しく書かれているので、そちらをお読みいただくのをオススメします。

●こちらも新憲法草案について議論が交わされる2021年のチリで見つかった、1901年のファウンド・フッテージ、という体。そこに写ったのは少女が死体を使った謎の儀式。
この、ファウンド・フッテージ、という体を取ってるがために、本当に「見てはいけない映像」感が強まるんですよね。しかも、コマ撮りアニメーションというルールなどお構いなしに時折実写映像が挿入されるので、さらにヤバい映像感が高まります。

この雰囲気は、1年後に制作された、トム・ヨークの新バンドSmileのミュージック・ビデオに強く反映されています。

The Smile - Thin Thing (Official Video)

https://youtu.be/J1_Cf55cS8I?si=XR2borGgfIZ0L24L

こちらも同じように時折挿入される実写、死体のようなメンバーの頭部、わらわら湧き出てくる手、そして白黒映像、と『骨』との共通点が観られて非常に面白いです。

●『オオカミの家』と同様、悪夢的快感を得ることが出来ますので、是非観てください。また『オオカミの家』のパンフレットを読むとこの作品の政治的なメッセージがよくわかるのでオススメいたします!
マインド亀

マインド亀