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マザーズのkabcatのレビュー・感想・評価

マザーズ(2016年製作の映画)
3.4
ホラーは苦手な方だが、この映画のような日常生活にだんだんひずみが出てきて‥というタイプはわりと好きである。特に前半は家政婦として雇われたエレナが日々の暮らしを手伝うなかで、ルイーズと心を通わせていく経過は、不穏さは漂うものの楽しく見られた。

この映画の「恐怖」とは、電気も水道もなく自給自足で暮らすルイーズが、自然の摂理に反してエレナを代理母にして子供を産ませる、という「子供」や「母親になること」への執着心だと思うのだが、その表現が不十分のように思えた。彼女の異常さは子供が産まれてから‥というかラストシーンの数分間だけ急に顕著になるのであって、エレナやカスパーが次第に正気を失っていくのとは明らかに描き方が異なる。またラストシーンにちらりと映り込む人物(エレナの最後のシーンにも登場したよね?)についてもわかりづらく、消化不良のまま終わってしまった。

監督はこの映画をホラーとは考えていないそうで、無駄に恐怖を煽ったりしないところや全体の雰囲気は好感が持てた。もう少しほかの作品を観てみようと思う。

キャストも好きな感じの人たちが多かった。ビヨルン・アンドレセン、地道に俳優を続けていてうれしい。そしてカスパー役のピーター・クリストファーソンが、メッチャ好みです笑。
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