Omizu

エンパイア・オブ・ライトのOmizuのレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
3.8
【第95回アカデミー賞 撮影賞ノミネート】
サム・メンデスの新作で撮影はやはりロジャー・ディーキンス。1980年代、エンパイア劇場を舞台にした作品。

いくつかのシーンではあまりに美しすぎて話とは別に涙してしまった。終盤は素晴らしい。

ただし音楽や映画、詩と既存のものに頼りすぎな部分がある。展開のわざとらしさやセリフの不自然さが気にならなくもなかった。

イギリス・ケント州にある元映画館Dreamlandをそのままエンパイア劇場として生まれ変わらせたという美術は本当に素晴らしい。輝くばかりのあの映画館は忘れがたい。

屋上で花火を見るシーンは美しすぎた。映像が美しすぎて泣いたのは記憶にないくらい。

バイク集団のシーンは圧巻!と感嘆したあとに恐怖のシーンに変わる。その呼吸が見事。

しかしながら序盤から中盤にかけては展開とセリフの不自然さが気になった。オリヴィア・コールマンの演技と存在感はやはり凄いのだが、やや大げさに見えた。

急に激昂したりするのは設定とはいえ唐突すぎる。普通そんなこと言うかな?と思うセリフも多々あり。

音楽はいいのだが主張が激しすぎ。映画をみるシーン、最後の詩の朗読は感動的だがオリジナリティがあるかというと…

終わりよければではあるし、概ねいい映画だとは思うが詰めが甘い気がする。
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