ニャンおっ太

エンパイア・オブ・ライトのニャンおっ太のレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
4.0
ざっくり言えば中年女性版ニューシネマパラダイスだし些か手垢塗れの表現が気になるけれど、主題はさて置きこの作品はUKユースカルチャーを背景にした白人と黒人の融和(2tone)映画だと考察。主人公ヒラリーの心の病を支える黒人青年スティーブンのパーティー服が3釦スーツにポークパイハットにタッセルローファーで自称ルードボーイ(だと歌うのがToo Much Too Young)だし、普段靴はマーチンソールのモンキーブーツでハリントンジャケットにはMadnessバッジ。プレゼントあげたEPがThe Specials / Do Nothing (包装紙落書きが踊るウォルト・ジャブスコ!)で、貰うLPがThe Beat / Wha'ppen? だし劇場改装シーンではMirror In The Bathroom流れてたし。ニューウェーブな女性従業員のウォークマン中身Joy Divisionで私服バッジがThe CureのBoys Don't Cryで震える。この時代の白人至上主義政党ナショナル・フロント台頭とネオナチ/極右スキンヘッズの関係はRock Against Racism運動のドキュメンタリー「白い暴動」を参照して頂ければ理解深まるかも。「さらば青春の光」を思わせるシーンあるけれどあれは1964年でこちらは1982年でモッズムーブメントはパンクに駆逐され衰退していたし(イギリスでのモッズリバイバルは80年代中頃以降)、Northern Soulを好んだモッズと移民から派生したスキンズとSKAやrocksteadyの親和性は深いけれど排他的極右フーリガンと雑に混合しないで欲しかった。まあそれも含めてあの時代の文化を愛する我身には大いに沁みました。