Pinch

エンパイア・オブ・ライトのPinchのレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
3.2
性虐待、人種差別、精神障害の厳しい実態を含む、ぎりぎり許せる範囲のメロドラマ。オリヴィア・コールマンが醸し出す落ちぶれ感が印象的だが、全体としてあっさりと明るいトーンでまとまっている。

1981年の設定。使用楽曲が時代を語っている。古い世代のヒラリーには Cat Stevens や Bob Dylan、若いスティーブンとジャニーンには The Specials や Siouxsie and the Banshees 。エンドロールを見て Joy Division の名曲である Love Will Tear Us Apart が使われていると知ったが、気づかなかったな。

映画の中に出てくるあからさまな人種差別・移民排斥行為は、2025年の今も厳しい軋轢を生んでいる。もはや日本も例外ではない。甘い理想など抱いていないし慎重論も理解できるが、少なくとも排斥は不可能な現実があり、無視できない課題になりつつある。この問題に限らず、人種・国籍にかかわらず、人の心に入り込む浅ましい偏見がいっぱしの正義としてまかり通る時代が再びやって来てしまったのだ。
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